アンゾフのマトリクスの3次元化|市場×技術戦略

ホーム > コラム一覧 > ひとり言 > アンゾフのマトリクスの3次元化|市場×技術戦略

用途と技術のパターン

アンゾフのマトリクス 3次元化

顧客と技術のパターン

アンゾフのマトリクス 3次元化

はじめに 〜 なぜアンゾフのマトリクスを3D化したのか

市場開拓や新規事業戦略の基本フレームワークとして有名な「アンゾフのマトリクス」。
しかし、これまでの2次元マトリクスでは「市場」と「製品(技術)」の2軸のみで考えられてきた。ところが、現代の技術革新スピードや市場の変化を考えると、この2軸だけでは戦略を考えるには不十分だ。

そこで本記事では、従来のアンゾフのマトリクスを「3次元化」し、「市場 × 技術 × 難易度」という新たな視点で成長戦略を解き明かしていく。

従来のアンゾフのマトリクスの限界

アンゾフのマトリクスは「市場浸透戦略」「市場開拓戦略」「製品開発戦略」「多角化戦略」の4象限で成長戦略を整理するフレームワークだ。しかし、これにはいくつかの限界がある。

技術の進化が考慮されていないため、どの程度の技術開発が必要かが見えにくい。また、難易度の違いが分かりづらく、既存市場への浸透と新市場への展開が同じレベルで語られてしまう。さらに、市場と技術の関係が固定されており、技術の応用範囲や段階的な展開が十分に考慮されていない。

これを解決するために、アンゾフのマトリクスを「3次元化」する。

3次元マトリクスの説明 〜 技術軸×用途軸×難易度

今回提案する「アンゾフのマトリクス2.0」は、技術と用途の関係を立体的に整理することで、より現実的な戦略設計を可能にする。

技術軸(X軸)は技術の成熟度や発展の度合い、用途軸(Y軸)はその技術の市場・用途の広がりを示す。そして、新たに難易度(Z軸)を加えることで、実現のハードルがどの程度あるのかが可視化される。

この3次元マトリクスでは、戦略の進め方が明確になる。
まず、既存の技術と市場を活かす「現状」のフェーズからスタートし、次に既存技術の新たな用途を探る「新用途展開」を試みる。その後、新技術を既存市場へ導入し「新技術開発」を進め、最終的に「新技術×新用途」の領域へと挑戦していく。

つまり、既存の技術、既存の顧客を大切にするこということである。

新技術ができた場合は、まずは既存顧客の全員に告知する

新しい用途は既存技術を応用して作っていく。

そのようなアプローチが本当に大切である。

3次元マトリクスの活用方法

このフレームワークを活用することで、より具体的な戦略が描けるようになる。

たとえば、既存技術の用途を広げることで新市場へ展開するケースでは、航空機用の軽量素材を医療機器に応用したり、自動車用の防振ゴムを家電製品へ転用したりすることが考えられる。

一方で、新しい技術を開発して既存市場に適用する場合、次世代バッテリー技術をモビリティ市場に投入したり、AI技術を製造業の効率化に活用したりする戦略が有効だ。

また、技術と市場の両面で新規領域へ進出する際は、段階的な実証が重要になる。たとえば、カーボンニュートラル素材の開発と新市場への適用、次世代通信技術を活用した新しいビジネスモデルの構築などがその例だ。

まとめ 〜 3次元で考えることで戦略の精度が上がる

これまでの2次元的なアンゾフのマトリクスでは、「どの戦略がどれだけ難しいか」「技術と市場の関係がどう変化するか」といった情報が抜け落ちていた。

しかし、「アンゾフのマトリクス2.0」を活用すれば、技術と市場の関係性がより明確になり、戦略の実行難易度を可視化できる。結果として、段階的な成長戦略を設計しやすくなる。

成長戦略を考える際には、ぜひ3次元視点で市場と技術の関係を見極めてほしい。

コラム