理系本 医学

アルツハイマーを舞台とした最高の研究ドラマ!

アルツハイマー征服

  • 著者:下山 進
  • 発売日:2021-01-08

アルツハイマー征服をおすすめする3つの理由

  1. プロローグがうますぎる!(これだでも読む価値あり)
  2. アルツハイマーの研究の歴史がすごくわかりやすい
  3. 日本のエーザイがメインになってきて、めちゃめちゃ身近感じがある!

アルツハイマー征服の内容と感想

本書はアルツハイマーの薬を開発するまでの研究史です。アルツハイマーの薬は2021年6月8日にエーザイが初めてかつ唯一の治療薬として米国FDAより迅速承認を取得しました。本書のエンディングはそのまま2021年に続いている内容のため、今起ころうとしている歴史を体感することができます。

アルツハイマーは命ではなく、人としていられなくなるというめちゃめちゃこわい病気なんです。

しかもこの病気は遺伝する(あるDNAをもっていたら発症率は100%)。

親がアルツハイマーになったら自分もなるのではないかと想像し、怯えながら生きていかないといけない。

もし家系に1人でもいたら?次は・・・?と思い、その恐怖から逃れることはできません。

逃れる方法はたった1つ。DNA検査をし、白黒つけることなんです。

私の周りでアルツハイマーとなった人はいなかったため、本書も好奇心の赴くままに読めたんですが、自分ごとだったらこんなに楽しんで読めなかったかもしれません。

プロローグ

本書はプロローグが絶妙にうまい!私はそのときカフェで読んでいたんですが思わず「プロローグうまっ!!」と声に出してしまう笑うほどでした。

始まりがアルツハイマーと全然関係のない青森のりんごの話から始まるんで「あれ?違う本ほんどんのかな」と思って、タイトル確認しちゃいました。それほど全然違う話から始まって、しかも別に面白くないんですよね(笑)

このときは下山さん(著者)の腕をちょっと疑ってしまって、買ったの後悔していました。

それでまぁタイトルは合ってたんでそのまま読み進めるとすぐに「プロローグうまいな〜〜!!」っていうぐらい、衝撃的でした。

これで下山さんがものすごい本を書くってわかったんで、別の本の「2050年のメディア」をアマゾンですぐ買いました。

導入がここまですばらしいのは初めての経験で、これだけでも本書を買ったのは正解でした。

エーザイの杉本さん

メインテーマであるアルツハイマー治療薬の研究は「研究を題材にした昼ドラ」かと思えるほど面白い。
日本人研究者の登場も多く、エーザイの杉本さんを応援したくなった。

研究はもちろんメインなんですが、研究者にスポットを当てたストーリー展開も多くて非常に読みやすいんです。

杉本さんが権力のある人と喧嘩して左遷させられたり、戻ってきたりという個人をピックアップした話から、企業の特許侵害による裁判話などわくわくする内容が続く。

とはいっても研究の説明や歴史をおろそかにしているわけではないんです。

むしろ研究の話は結構細かいので、メモをしながら読んでました。研究を進める上での技術ブレークスルー(電子顕微居とか、DNAの発見とか)も丁寧に押さえている。

文書はわかりやすく「お〜〜なるほど、そういうことね!」とすんと理解しながら読むことができたんは下山さんの文章力のおかげです。
複雑な流れがすんなり理解できたときは「下山さんよく調べたね〜」っとなぜか上から目線で感心していました(笑)

クライマックスとなる治験結果のところはどんでん返しと期待感とで興奮がおさまらず、ジェットコースターが上がっていくようなドキドキ感がありました。

そんで下山さんはじらす演出がめちゃめちゃうまい。

さくっと結果を知りたい私にとっては、ページをめくるごとにま「まだか?」「もう〜〜」の繰り返し。
結末はそのまま2021年につながり、読み終わったあとは思わずエーザイの株価を確認してしまいました。

本書の中にはアルツハイマーの研究者がアルツハイマーになるという衝撃的なことも書かれていて、いたたまれなかった部分もあります。
映画「アリスのままで」のモデルとなっているという人物の話は、アルツハイマーのこわさを思い出すには十分でした。

やはりアルツハイマーはこわい。

本書にはこわさを克服するために人類が挑んだ挑戦の軌跡が詰まっています。

人類はアルツハイマーを完全に征服できたわけではありません。しかし、アルツハイマーとの戦いを知るには本書は最高の本に間違いありません。

研究は一人ではできません。時代を問わず様々な研究者が力を合わせながら、アルツハイマーという病魔に手探りで挑む姿が盛り込まれているベスト書籍です。

1mmでも驚異がある人はぜひ手にとって読んでみてほしい。せめてプロローグだけでも!

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