植物が出現し、気候を変えた
- 著者:デイヴィッド・ビアリング
- 訳者:西田 佐知子
- 発売日:2021-01-08
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植物が出現し、気候を変えたをおすすめする3つの理由
- 植物を中心にして、今まで知られていなかった地球史を知ることができる!
- 植物が大気に与えた影響が素晴らしい翻訳で理解できる!
- 植物の進化の仮説と検証がめちゃめちゃ面白い!
植物が出現し、気候を変えたの内容と感想
本書は植物を主役にした地球の歴史です。
これまで語られきた地球の歴史は海、土壌、生物を主役としたものが多く、植物は「酸素作りました」っといった簡単な紹介ばかりなんですよね。
もちろん植物の登場は重要なイベントっていう風に書かれているんですが、その扱いは数行程度でめちゃめちゃ軽いん扱いでした。
それを見た著者のデイヴィッド・ビアリング氏は「いやいや、植物はもっともっと深いよ!」とこれまでの流れに反発するような形で本書を執筆したらしいです。
ちなみに、著者は植物学、古気候学を専門にしているいて、植物愛がすごいですよ(笑)
本書は植物が気候に影響を与えるようになった理由から、そこから生まれる生物との関係性など、植物の偉大さがわかる内容になっていて、
例えば、第一章の葉の話。
葉が誕生して植物全体に広がるまで4000万年もかかったという話から始まります。今でこそ植物に葉っぱがあるのは普通なんですが、初期の植物、例えばクックソニアとかには葉っぱがなかったんですね。
ちなみに、霊長類から人に進化するまで400万年。「葉」という植物の代表的性質が広まるまで、その10倍もかかっていているんですね。
それはなぜか?で、ある仮説が紹介されます。
それは「植物はもともと葉を持つ能力を持っていて、CO2の減少がその能力を解放した」という仮説ですね。
で、この仮説を証明するために、大気中のCO2濃度の変化のしかた、植物の化石、ノックス遺伝子、葉の冷却問題、光合成と気孔の関係といったいろんな方法を使って、がんばった研究者の歴史がめちゃめちゃ熱く語られています。
続く第二章は巨大生物の話
大気中の酸素濃度は普遍だったのか?という疑問からスタートします。
まずは知識の前準備とて、O2やN2の発見、熱素など大気の成分の話があります。
そして、シャルル=ブロンニャールが発見した「巨大トンボの化石」から本題へ!
地層を調べるうちに、ある時代のすべての昆虫、植物が巨大化していたことがわかってきます。しかも、巨大化は5000年間のみでその後パタッといなくなっていたという考えられない事実に行き当たりいます。
この問題にフランスのエドアール=アーレ、アンドレ=アーレが挑戦していくわけです!
そこで、彼らが目をつけたのは大気圧だったんですね。
まずは、大気圧が高ければ空気の密度も高くなるから、生物が浮きやすくなるのでは?という仮説から始まります。
大気圧が違ったってことは大気の成分の、O2とN2の密度も今と違った??
えっ?じゃーもしかしてO2濃度って一定じゃなくんて、変化していたの!!??
というO2濃度の話題へ!そこから植物とO2の関係性が加わり、様々な視点から酸素濃度が変化していた事実を突き止める!
話の展開がうますぎて、次は?次は?とどんどん読める。西田氏の翻訳も素晴らしく、難しい話なのになんの違和感もなく読めます。
ちなみに、西田氏の翻訳が良かったので、『欲望の植物誌』もすぐにぽちった。こっちはリンゴ、じゃがいも、マリファナ、チューリップと人の欲望と関わりの深い植物と人間の関係性の物語。
本書『植物が出現し、気候を変えた。』には植物が地球そして我々に与えた影響の大きさが深々とか書かれています。
第一章だけでも、立ち読みでも、なんでもいいので手にとって見てみてください!